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妻の出産に立ち会えないバカげた理由
友人に誘われて『うまれる』という映画を観に行きました。両親の不仲や虐待の経験から親になることを戸惑う夫婦、出産予定日に我が子を失った夫婦、子どもを望んだものの授からない人生を受け入れた夫婦、完治しない障害を持つ子を育てる夫婦、四組のそれぞれの生き方を綴ったドキュメンタリーです。


今日はこの映画の感想を書こうと思ったのじゃないのです。感想はきっと多くの人が書いておられると思いますから。この中に、こんなエピソードがあったのが私には引っ掛かりました。四組の夫婦のうちで、これから子どもが生まれるという夫婦に起こったことです。


妻は幼児虐待を受けて育ったということがあり、その連鎖が自分にも起きるのではないかと、出産には少し不安があります。優しい夫は、その不安を少しでも和らげてあげたいと、助産院での立ち会いを希望します。そこで、出産予定日に会社を休ませて欲しいと上司に願い出るのですが‥‥


その時、上司がこう言ったというのです。

「出産に立ち会って、売上げが上がるのか?」

彼は答えます。「いいえ、上がりません」

「だったら、あとは自分で考えろ」


私はそいつを殴ってやろうかと思いました。もちろんヘナチョコなので殴れませんけどネ。(´_;

いつも思うことですが、つくづく、地位や権力や学歴や能力と、人間性は関係がないと思います。


夫は、「人として」の行動を模索している。でもその上司が言っていることは「会社人として」ですらない。もっと狭い「売上げ」のことしか頭にないのです。さらに言えば、それすら口実で、やりたかったのは上司ズラしたかっただけのこと。要するにイジメたい願望です。戦争中の日本陸軍の体質となんら変わらない。


私がもしその上司だったら、「そりゃいいことに気がついたね。しっかり寄り添って上げなさい」と言います。それがコーチングというもの。「規律に従え」しか言えない人間に、コーチをやる資格などない。そんなもの誰でも言えるんですから。もっともイージーな指導です。その上司は、間違って上司になっちゃったんだな。


「だったら、あとは自分で考えろ」ですって? 私がその夫なら、考えた末に会社を休みます。なぜって一日や二日休んでも会社は無くならないけれど、出産立ち会いという瞬間はもうその時にしかありません。会社でやる仕事はルーティンだけれど、出産立ち会いは一生でもまれな体験なわけですから。


と、まあ大言壮語を吐きましたが、それは今だから言えること。実は私にも全く同じ経験があるのです。息子が生まれるときに、カミさんは両親のいる田舎へ行きました。私は当時デザイン会社に勤めていて東京に残って仕事をしていたわけですが、休んだのは年に45日というありさま。


でもその時ばかりは勇気を出して社長に言ったんです。「子どもが生まれるんで休ませてください」と。そうしたら、社長がこう返した。

「俺と専務は、子どもが生まれたからって休まなかったよ」


結局、立ち会えなかった私は、後でカミさんから「ぜーんぜん来てくれないし、心細かったよぉ」と言われ、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。それに何より、大切な瞬間を逃したという後悔が後をひきました。


この話には後日談があって、ある時、会社の倉庫を整理していると、社長が自分の長男誕生のときに出したハガキがひょっこり出て来た。そこには、なんと「『生まれ』たという知らせを聞いた瞬間、喜びでいっぱいになり、取るものも取りあえず病院に駆けつけました」とあったのです。


「なーんだ、ウソじゃん!」「自分は嬉しくてハガキまで出しているじゃん!」ひでぇなぁ、と思いました。

けっきょく社長は、その時ぱっと心に浮かんだ「イジメたい願望」を、立場を利用して行使しただけだったのです。