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なぜ、金、金、金、の世の中になったのか?(1)
NHKの『100年インタビュー』に脚本家の倉本聰さんが出ていらして、「なぜこんなに、金、金、金、の世の中になったのか?」と呟かれていたのが耳に留まりました。倉本聰さんと言えば、『前略おふくろ様』『うちのホンカン』『北の国から』などを思い浮かべる人が多いんでしょうが、私はだんぜん『6羽のかもめ』なんですよね。脚本集も持っている。

まあそれはいいとして、「なぜ、金、金、金、の世の中になったのか?」です。きっと同じような思いをしている人も多いことでしょう。この言葉の中には、「いつから、どのようにして?」という因果関係を問う意味と、「お金を第一と考える価値観、世の中の風潮」に対する倉本さんの疑問が同時に含まれています。

先ず、いつから、どのようにして、変わっていったのか? これは、私の見るところでは、1995年を境にして大きく変わった。もちろん一日で激変したわけではありませんが、激変する下地が、この年の前後で一挙に整備されたのです。極めて意図的に。そうしたい者たちの手に拠って。

95年の出来事としてすぐに思い出されるのは、マイクロソフトの「Windows 95」の発売です。このコンピュータ・ソフトの登場によって、オフィスだけでなく、冷蔵庫と同じように家庭で誰もがパソコンを持つ時代が幕開けしました。これは続くインターネットの普及によって、世界を一元化した情報、一元化した価値観で染め上げることを加速したのです。

また、前年の1994年には、大型店の出店を規制していた大規模小売店舗法が改正され、郊外ショッピングセンター(SC)時代が幕開けしました。裏を返せば、駅前商店街時代が終わって、後にシャッター通りとなる道筋がここで作られたのです。これは、日米貿易摩擦解消の一環としてアメリカから要求された法改正であり、その象徴となったのが「トイザらス」の日本上陸でした。

1992年1月、奈良県橿原市に「トイザらス」の2号店がオープン。この時、アメリカからわざわざパパ・ブッシュが訪れて、恣意活動を行いました。一国の大統領が、民間チェーン店のオープンの日に、飛行機でやって来たのです。「いいか、お前ら、俺が来たんだから、意味は分かってるだろうな」というわけです。この「トイザらス」を日本に持ってきた人が、日本マクドナルドの藤田田さんです。


そして、ここで一度障壁が破られた後は、まるで雪崩を打ったように、アメリカ政府による日本経済の支配が強まって行ったのです。貿易不均衡の是正を目的とした「日米構造協議」は、93年には「日米包括経済協議」と名を変え、94年からは2009年にかけては「年次改革要望書」という恫喝命令書にエスカレートして行きます。そして今また「TPP」へと繋がって行っているわけです。

さてもう一つ、今日では誰も指摘する人がいないのですが、95年に日経連(日本経営者団体連盟:2002年に経団連と統合)が、「新時代の『日本的経営』」と題する文書の中で、労働者のタイプ分けの雇用を提言しました。以下の3つがそれですが、狙いは、正規雇用者を減少させることによる賃金の抑制です。
  1. 長期蓄積能力活用型(企業の核となる継続雇用グループ)
  2. 高度専門能力活用グループ(流動性をもった専門職グループ)
  3. 柔軟雇用型(契約社員・パート等の不安定労働者グループ)

この翌年の96年には「労働者派遣法」が改正され、その後、派遣適用対象の職種を徐々に拡大してく形で、いわゆる「雇用の自由化」(裏を返せば、仕事の不安定化と賃金の減少)が推進されて行くようになったのです。と聞いても、「はあ、そうか」という程度にしか思われないかも知れませんが、これは、後で述べますが、実に大きな転換点となったのです。

さて、いま上げた事実を眺めてみれば、95年を境に、日本がどう変わって行ったかが見えてくるのではないでしょうか? 要約すれば、グローバル経済に飛び込む中で、労働者への締め付けが強化されて行った。そしてそれは、アメリカ政府の対日戦略であったということです。また日本がそれを受容した背景には、当時の政権内に(そして今も)アメリカの手先となって動く一派がいたということです。

これら一連の政策によって、日本国民の暮らしぶりが良くなったのならいいです。しかし、いわゆる「失われた20年」というものと、95年を境にした一連の制度改革の時期とが、ぴったり合うということに注目してください。今日の日本の衰退は、先行するアメリカ社会の衰退とまるでそっくりです。日本は、ダメになり方において、アメリカの後追いをするようになったのです。

そして95年初頭の、あのザワザワとした時代の雰囲気を覚えておられるでしょうか? 阪神・淡路大震災地下鉄サリン事件という、世の中を震撼させる大事件が連続して起きたのです。時代の底が抜けた感じがしました。こうして、それまでの日本人が持っていたあるものが弾け、「金、金、金」の世の中へとチェンジして行ったのです。(つづく)