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サービスのあり方
磯子のセミナーに行った折、昼食を取る時間がなくて、仕方なしにファストフード店に入りました。ファストフードと言ってもチェーンのうどん店です。私の場合、ギリギリの妥協といったところでしょうか。

店内に入ると非常に混んでいました。向かって右側がデシャップレーン(Dish Up Lane)、左側の壁はカウンター席になっています。運よくそこに空いた場所を見つけたので、私は転がしていたキャスター付きの大きなバッグをそこに置こうとしました。

ところが、ホールの案内係の女性に制止されてしまいました。先ずレーンに並べと。最初に席を取ってはいけないというのです。そこで仕方なく、片手でキャスターバッグを転がしながら、もう一方の手で汁の入った丼を載せたお盆を持って、さながら海老一染之助のようにして移動したわけです。(全然おめでたくないけれど)

そして、くだんの案内係の女性に導かれて座った席が、なんのことはない、最初に私が荷物を置こうとした席なのです。アホくさ。これだから、チェーン店はいやなのです。

その女性は、店のルールを客に順守させることが、自分の仕事だと思っているのです。そういう風に店から教育されていて、客の立場に立って考えるという発想が全くない。いったいそれがサービスなのか、ということです。

カウンター席で、不味いうどんを啜っていると、自分がケージに入れられた鶏のような気がしてきて、早く逃げ出したくなりました。エサを取りに行くのも自分、食べ終わった器を返しに行くのも自分です。客は店のシステムに合わせて、ベルトコンベアーを移動してエサにありつき、そしてお金を払うのです。

でも見ていると、そんなことに疑問を抱いているお客さんは誰もいないようです。お客も、それが当たり前だと教育されて育っている。でも私はイヤだな。サービスというのは個人技です。だからヨーロッパでは、給仕係は年配のベテランが務める。ベテランの方が、お客というものをよく知っているから。

ところが日本では、若くてピチピチした子が優先される。私もアルバイトに何度か応募したけれど、先ず年齢で撥ねられて雇ってもらえない。結局サービスをする人を、使い捨ての労働力としか見ていないんですよね。サービスほど難しい個人技はないのに、そこに価値を置いていないの。

同じ日の夜、4人で老舗の居酒屋へ行ったのですが、そこは丸で違っていましたね。サービスを受け持つのはベテランのおば様。こちらが最初のオーダーをすると「お刺身の盛り合わせいかがですか。いま旬の魚がちょっとずつ入って、おいしいですよ。4人で1.5人前くらい」と言われて、乗せられて注文してしまいました。

「ポテトもいかがですか?」じゃないんですよ。ちゃんと自分で考えた言葉があって、客をその気にさせて落としているんです。1.5人前というところがミソ。1人前3,000円だったから2人前頼むと6,000円になっちゃう。4人で割るとそれだけで1,500円だ。

でも通常のオーダーにない1.5人前というと、無理を聞いてもらったスペシャルな感じがするでしょ。そうやって「お客様のこと考えているんですよ」と思わせながら、実は3,000円じゃなくて、4,500円落とさせているわけです。これがプロのサービス技術というもの。

飲食店というのは、ただ入って食べてお金を払うところじゃないんです。サービスの技と対決する場所なんです。そこが一番楽しい。そのためには、客側のこっちも食べまくり飲みまくりの場数を踏んでいないと太刀打ちできないということ。

でもそれを体験しようにも、チェーン店ではどうしようもありません。我が愛する老舗店は絶滅危惧種になっちゃった。老舗が死に瀬の瀬戸際です。つまんない時代だなぁ。